花さき山 斎藤隆介・作 滝平二郎・絵
あらすじ
あやという少女が山へ山菜取りにいき、そこで山ンばと出会う。
「やさしいことをすれば 花が咲き、いのちをかけて守れば山がうまれる」と、山ンばが、あやに語る。山ンばは、あやが、妹のために自分はしんぼうしていることを知っているのだ。
切なくも美しいお話。約8分。
山ンばはどんな声?
山ンばってどんな声だと思いますか?かわいい声ではないと思いますね。低くてハスキーな、しわがれた感じ?
お話の冒頭は山ンばの「おどろくんでない」
間違いなく、あやは山ンばに出会って驚いたのでしょう。だって、山ンばというのはひとびとに怖れられ、迫力があるものです。驚くのも無理はありません。だから「おどろくんでない」と言ったのでしょう。
ここはお話の始まりなので、山ンばの怖さを聴き手に理解させるためにも、まずはあえて驚かせるくらいのどっしりした大きな声で。お話の場の空気がビクッと緊張します。
でもすぐに、あやに話しだすと優しく語り掛けましょう。山ンばの迫力は保ったまま。
ただし無理に声を作るのはやめましょう。ノドを傷めてしまいますからね。
わたしがキャスティングすると、山ンばは夏木マリさんにやって貰いたいなぁ、なんてイメージが湧きます。
ここまでは山ンばの前説
山ンばが自身の自己紹介と、あやが迷い込んだ山には、いままでみたこともない花が咲くのはなぜか「それは こうした わけだしゃー。」と、説明を始めます。この辺りは、前振りなのでどちらかというと淡々と。
花さき山とは?
この花は、ふもとの 村の
にんげんが、
やさしいことを ひとつすると
ひとつ さく。
山ンばの解説が始まるここからは少し雰囲気を変えて、ゆっくり、丁寧に。
つまりは、辛い思いをしたときなどに、花が咲くのですね。
↑このページは、いわゆる「花さき山のまとめ」。山ンばの言いたいことが要約されています。
わーっ!とアガッた感情で読むか、しっとりと読むか…、読み手の個性でガラッと違ってきますね。
ここでワンポイント!
読んでいる自分の足元からザーっと美しい花が咲き乱れているのを想像しながら読んでみてください。読み方も断然違ってくるハズです!
個人的にはこのページ、美しくて大好きです♪
現実世界のせつなさ
現実世界に戻ったあや。
山ンばの話を、おとうやおっかあは笑い飛ばします。(ここでまた花さき山では花が咲いてるんじゃ⁉)
否定するひとたちを意地悪く演じると、お話の雰囲気が変わりすぎてしまうので、あまりやりすぎないように。おとうとおっかあは意地悪な設定ではないので。
ラストは複雑ですね
あやは、そのあと ときどき、
「あっ! いま 花さき山で、
おらの 花が さいてるな」
って おもうことが あった。
せ、せつない…せつなすぎる…!辛い思いをしているとき、自分を慰めるためにこう思ってるのでしょう。もしかしたら、泣いたあとなのかも知れません。
もう花さき山もみつからないし、あの花もないのだけど、山ンばの話を心の支えに生きていくのでしょう…。
聴き手の子どもには解釈が難しいところです。なので決して「わーい♬花が咲く~!」なんて明るい話にしてしまわないように。悲しみの心を秘めて、意味深な感じで終わりたいです。
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