CHIKIらく日記

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紙芝居オススメ てんもく山のおかよちゃん 悲しすぎる結末だけどぜひ子どもたちに聴かせたい。

てんもく山のおかよちゃん 脚本・画 かこさとし(しかけ紙芝居)

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 あらすじ

小さいながらも働きどおしのおかよちゃんは寝たきりのじいさま、目の不自由なばあさまと暮らしています。貧しいので、お祭りのときに庭に飾る小袖(着物の一種)を買うことができません。

薬になるよもぎをいっぱい刈って持ってくれば買い取ってあげる、と薬屋さんに勧められ、おかよちゃんは一生懸命働き、7年という歳月をかけ、ついにお金を得て念願の小袖を手にします。

しかし、そのよもぎを刈った場所はお殿様の土地だった、ということで、引っ立てられ、捕らえられてしまいます…。

全16場面。約10分。

働き者のおかよちゃん

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じいさまとばあさまの面倒を見てくらしているおかよちゃんは

村人たちから、かよちゃと呼ばれてかわいがられています。

かよちゃの働きだけでは、キレイな小袖を買うことはできません。

読み聞かせのコツ①

楽しいお話が多いかこさとしさんの作品ですが、シリアスなお話なので、落ち着いた語り口で入ります。

  

薬屋さんと出会い…
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ある日、草を刈っていると通りがかった薬屋さんから

「ここらのよもぎは、きっとよいもぐさになる。持ってくればわしがみんな買ってあげよう」

と、声をかけられました。

読み聞かせのコツ②

薬屋さんの口調は悪人ぽくならないように優しく。

 

働きまくるおかよちゃん
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薬屋さんからのアドバイスを受け、一生懸命に働き続けるおかよちゃん。ひたすらよもぎを刈ります。


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ばあさまがよもぎをもぐさにして、寝たきりのじいさまはそれらを検品してくれます。良いもぐさです。

しかけをゆっくり動かします
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一年…二年…三年…よもぎ刈りは、川のほとりから始まり、山のすそ、そして山のふもとへと進んでいきます。

紙芝居につまみが付いているので、ゆっくりと引きます。

ついに大金をゲット!

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七年目の夏、ようやくかよちゃは報酬を手に入れます!薬屋さんも労います。

「ようやったのお。こんなにたくさんのもぐさ、さぞ遠くまで刈り取りにいったことじゃろうな。」

「はい、もう 天目山のそばまでいきました」

答えるかよちゃ。

読み聞かせのコツ③

「なんと、天目山じゃと。ふーむ、それはそれは…」

↑優しい薬屋さんのこのセリフは、なにか含みを持たせるように。
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 初めて貰ったたくさんのお金。赤い小袖も買えました。

かよちゃはうれしくてたまりません。ちょうどあしたはお祭りです。
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ほかのうちと同じように、ようやく庭に小袖を飾ることができ、シアワセなひととき。

読み聞かせのコツ④

ここで大きくうわ~っと幸せ感を出すと、次からのシーンの残酷さが立ちます。

それはあまりにも忍びない、辛すぎる、と思う方はほっとした、穏やかな優しい空気感を出す程度でOK。

 

捕らわれてしまうおかよちゃん!
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おまつりのごちそうを食べようとしたとき、代官所の侍たちが大勢踏み込んで来ます!

「やい!娘!よくもお殿様のもぐさになる天目山のよもぎを刈り取ったな!

ちゃんと薬屋が訴えに出て話しおったわ!」

 

読み聞かせのコツ⑤

穏やかなホッとしたシーンから一転、優しい薬屋さんがタレ込んだ、とわかってショックな恐ろしいシーンです。侍たちの怒号は遠慮なく悪者感をたっぷり出して凄みましょう。
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必死の訴えも虚しく、無理やり連れていかれてしまうおかよちゃん。

村の人たちも集まってきて

「かよちゃを助けるべえ!」と団結します。 

二つ目のしかけは炎
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その日はお祭りなので

今年も赤い小袖が飾られていてにぎやかなことよ…と眺めている代官所の侍たち。

しかしそれは村人たちが手に持つたいまつの炎だったのです!

緊迫感は最高潮!
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村人たちが代官所にどどどどどっーと押し寄せます!

「かよちゃー、助けにきたぞー、どこにいるんだー。」

村人たちが必死に捜しまわりますが…

殺されてしまったあとでした
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かわいいかよちゃは 侍たちによって殺されてしまったあとでした。

「かわいそうにのぅー。」

「くやしいのう、無念じゃのう。」

村の人たちはかよちゃに赤い小袖をかけてやります。
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かよちゃにとりすがって離れようとしないじいさまとばあさまも

かよちゃの赤い小袖を抱いたまま、雨の中で死んでいました。

読み聞かせのコツ⑥

読んでいると思わず泣きそうになってしまいます。涙声になる程度ならギリOKですが読み手が感情的に泣いてしまっては聴き手は興覚めです。なんども練習して、泣いてしまわないように注意しましょう。
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 村人たちが、亡くなった三人のために、お地蔵さんをたて、赤い小袖をかけました。

悪い殿様は死に、欲深の薬屋もつぶれてしまったあと

天目山のふもとには今でもたくさんのよもぎが茂り、かよちゃのお地蔵さんがたっているということです。

読み聞かせのコツ⑦

かわいそうなおかよちゃんのおはなし

なむあむ とんしょう ぼだい

これでおしまい

 

最後は、ゆっくり、しっとりと、静かに終わります。小声になってもよいですね。

終わったあとも余計な説明をしたり、感想を訊いたりするのは無用です。

 

個人的感想

いかがでしたか?知る人ぞ知る隠れた名作です。内容は大変ショッキングですよね。理不尽な、ただただひどいお話です。

ある小学校で5年生くらいの子どもたちに読み聞かせたとき、シーンと静まり返り、教室は重い空気になりました。みんなの目が悲しそうだったのが印象に残っています。

子どもたちはきっと

「かわいそう」

「なんで?」

「こんなおはなし嫌だ」

と思ったことでしょう。

一生懸命働いたおかよちゃん。やさしいじいさまやばあさま、助けにきてくれた村人たち。

悪があるから、善が際立ちます。人々のやさしさが印象に残ります。令和の現在、このようなお話を読み聞かせる機会はなかなかないのではないでしょうか。

教訓がましい説明などは必要ありません。きっとなにかを感じてくれる。 それでいいのです。
わたしは このお話が大好きです。

 

『せんだんよもぎ』(かこさとし語り絵本・偕成社刊)を

元にした紙芝居だそうですが

残念ながら、現在はどちらも書店で手に入れることは難しそうです。

図書館などにあれば、ぜひ読んでみてください。


せんだんよもぎ (1979年) (かこさとし語り絵本)


かこさとしさんの公式サイトはこちら↓
kakosatoshi.jp

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